いまや京都旅行は、世界中のあこがれ。
どこの国でも「旅行したい都市」の上位、いえトップに挙げられるそうです。
日本人であっても、「修学旅行で行ったきり」という人がなんと多いことか。
春夏秋冬どの季節も見応え十分、1200年の歴史が今もいたるところで感じられ、日本人の魂を呼び起こされる気がする街。
ところがいざ「京都旅行決行!」となると、さぁ、どこへ行こうか悩んでしまいますよね。
確かに名所は数知れず。
テッパンの八坂神社や清水寺はもちろん、写真映えのする金閣寺や平安神宮はマストだよね、レンタル着物を着て先斗町や祇園も歩いてみたい、やっぱり嵐山の竹林は外せない等々、候補を挙げるときりがないことでしょう。
とはいっても、有名どころは観光客が多いのも事実。
のんびりゆっくり歴史を感じて…というのはちょっとイメージが違ってくるかもしれません。
「それはいやだ」という方に、絶対おすすめしたいのが藤森神社です。
もしかしたら、「聞いたことない」と言われるかもしれません。
でももし、「有名じゃない=名所じゃない」と思っている方がいらしたら、それは損してますよー!!
これからご紹介する「藤森神社」も、その一つです。
藤森神社
「ふじのもりじんじゃ」と読みます。
その歴史は古く、西暦203年、神功皇后によって創建されたと言われています。平安遷都よりかなり昔から存在していたことがわかりますね。
この藤森神社は、勝運・学問・馬の神様として有名な神社です。特に競馬関係者の参拝は絶えることがありません。
年中行事としては、5月の藤森祭、6月の紫陽花祭には多くの人が集まります。
また境内に湧き出ている不二の水は近隣のみなさんがおおきなタンクをもって汲みにきたり、神社のすぐ隣の公園では子供たちのにぎやかな声が響いたりと、古い歴史を保ちながらも地元の方々から愛されている神社であることが伝わってきます。
では詳しくご紹介していきましょう。
三つの信仰 -勝負・馬・学問-
こんなにたくさんのご利益があるのか?と思われる方もいるでしょうね。
「勝負」について
この藤森神社は「菖蒲の節句」の発祥地だという言い伝えがあります。
つまり「菖蒲」→「尚武」→「勝負」というわけです。
私がおまいりしていても、ユニフォームをきた運動部の学生さんをよく見かけます。
「社運をかけた商談前にお参りした」という方や、中には「プロポーズ前にお参りした」という方もいらっしゃいますよ。
皆さんも、いざ勝負の時にはぜひおまいりになってみてはいかがでしょうか?
「馬」について
藤森神社を語る上で、絶対に外せないのが、「馬」についてです。
この神社では毎年5月5日に「駈馬神事」が行われますが(「駈馬神事」についてはこの後紹介しますね)、これにちなんで競馬関係者や競馬ファンから熱い信仰を集めています。実際、ジョッキーや厩舎関係者の方々をよくお見かけします。
参道の西側にある絵馬舎には、多くの競馬の絵画が飾られています。G1レースで大活躍した有名な馬の絵がずらーり!
その絵馬舎のとなりに神々しく現れるのが、神馬像です。
左前脚を掲げ、遠くを見つめるようなまなざしには、凛々しさや気高さがあふれています。
台座にはにんじんがお供えされていることもあります(笑)
参拝者のやさしい気持ちが伝わってきますね。
また春や秋のG1シーズンには競馬新聞片手の参拝客も多くみられます。すぐ近くには日本を代表する競馬場の一つである「淀競馬場」がありますが、「こちらの神社でお参りしてから競馬場に向かう」というファンも多々。
「学問」について
この藤森神社には、「日本書紀」を編纂した「舎人親王」が祀られています。そのことから「学問の神様」として親しまれるようになったそうです。境内には「学問の祖・舎人親王崇敬碑」という石碑も立てられており、受験シーズンには合格祈願の絵馬がたくさん掛けられています。
高校受験や大学受験などの勝負にはまさにぴったりの神社です。
今まで「受験といえば北野天満宮しかお参りしていない」という方、ぜひ藤森神社にもおまいりにいらしてくださいね!
藤森祭
毎年5月1日から5日に催されるのが藤森祭。
武者行列や神幸祭などどの行事も見応えもこのお祭りでは、「駈馬神事」が注目を集めますが、これは京都市の無形民俗財にも指定されています。
※駈馬神事:「かけうましんじ」と読みます。
「ただ馬に乗って走る」と言うものではありません。横乗り、逆乗り、逆立ちなどといった通常とは違う体位で、中には敵の矢に射られたと見せかけて、馬から落ちそうな体位を保ちながら走るのです。
もうね、一度見ると決して忘れることのできない、とにかくインパクトの強い光景なんです。
南門の石鳥居をくぐった参道で繰り広げられますが、アクロバットのようなスタイルに、観客は大盛り上がりです。
あじさい
あじさいに触れずして藤森神社は語れません。馬と並ぶ藤森神社の代名詞といってよいでしょう。
初夏の藤森神社は、それはそれはみごとなあじさいで彩られます。
南門をくぐった左手にあるのが「第一紫陽花苑」、境内の一番奥に東西に広がっているのが「第二紫陽花苑」です。
約3,500もの株が植えられており、6月のあじさいの季節には見事な花を咲かせています。種類は約30から40だそうです。
期間限定で紫陽花がデザインされた御朱印も根強い人気。
毎年と言っていいほどシーズン中に品切れになってしまうので、早めに調達されることをお勧めいたします!
ちなみに「あじさい祭」は6月15日。この日はあじさいを愛でるだけでなく、お茶のお点前や舞の奉納なども行われます。
一年に一度のこの日に伺うのはなかなか難しいと思いますが、機会を作ってぜひお出かけいただければと思います。
なお近年は紫陽花苑の小川に蛍を復活させる取り組みがされているようです。
夏の初めの日暮れ時、紫陽花の花の間を蛍が舞う姿は、想像しただけで幻想的ですね。
不二の水
本殿の東側になるのが、水汲み場です。藤森神社のある京都市伏見区は昔から伏水(地下水)に恵まれており、その恩恵として今でも酒造りの街として栄えていますね。
藤森神社に湧き出ている水は「不二の水」として親しまれています。「二つと無いおいしい水」という意味だそうです。
汲み場のそばには「水六訓」が掲げられています。
2.水は美しい
3.水は清し
4.水は強し
5.水は恐ろし
6.水は深し
改めて水の大切さを感じないではいられません。
そう思いながら看板を見ている間にも、大きなタンクや空のボトルをもった人たちが、代わる代わる訪れて水を汲んでいっていました。
もちろん私も訪れたときには必ずペットボトルにいただいて帰りますよ。
口当たりはやさしく、またコーヒーを入れたときは、コーヒーの味をひきたてている感じがしました。
宝物館
無料で見学できる宝物館も、今注目を集めています。
この藤森神社は名刀「鶴丸国永」が奉納されたとされています。
と書くとお気づきですよね。今や人気のゲーム「刀剣乱舞」に登場するキャラクター鶴丸国永を通して、ファンからは鶴丸の聖地として親しまれるようになりました。
今はファンから奉納されたグッズが集められた「鶴丸コーナー」まで設置されています。
と言うわけで鶴丸ファンには必見の宝物館、もう一度言いますね!
宝物館は無料で見学できます!!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今日は「藤森神社」についてご紹介いたしました。
また本文では紹介していませんが、あの新選組の近藤勇が足しげく通ってお参りをしたという「いちの木さん」と呼ばれる旗塚は、腰痛が治るという言い伝えがあります。
腰痛で悩んでいらっしゃる方は、ぜひおまいりしたいところですね。
また個人的には、秋のフジバカマの季節もおすすめ。
あじさいの季節とは一味違う風情を感じていただけます。
酒の名所・伏見は深草の地にある「藤森神社」、一時間もあればゆっくり摂社・末社までおまいりできるほどの規模ですが、味わい深く、ぬくもりのある神社です。
ぜひ一度足を運んでみてください。
場所:〒612-0864 京都市伏見区深草鳥居崎町609
交通手段:■京阪墨染駅下車徒歩7分■JR藤森駅下車徒歩5分
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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